父が他界しました。父のお金で①父の葬儀費用を支払ったり、②父の借金を支払っても、相続放棄できますか?  ③形見分けをした場合はどうですか?

①通常の葬儀及びそれに関連する費用であれば、相続放棄が出来なくなることはありません。例えば、葬式費用、火葬費用、仏壇・墓石の購入費用(但し、高額でないもの)であれば特に問題となることはないでしょう。亡くなる直前に発生した治療費も問題とされることは少ないようです。

②被相続人の財産を原資として、被相続人の債務を弁済すると、原則として単純承認したものとみなされます。したがって、相続放棄は出来なくなると考えた方が良いです。他方、相続人が自身のお金で被相続人の債務を弁済したときは、単純承認にはあたりませんので、相続放棄が出来なくなることはないでしょう。

③形見分けの対象物が、一般に相続人以外にとって価値が無いようなものであれば問題となることはありません。例えば、被相続人が生前に身に着けていたもの(高級な貴金属や腕時計は除く)、日常的に使用していた食器や衣服、家族写真、お位牌、などです。他方、その対象物が中古品市場でそれなりの価値が認められるものの場合は、単純承認をしたとみなされる可能性があります。